大川と仲好かった落盤で両膝下を切断された渡辺は単独歩行者以外は次回の輸送に廻されたため、色白の美しい顔を枕に伏せて横になっていたが、大川の還る様子を見度いと十九日に出発する事になった保に背負われて小窓から次々に出てゆくトラックを眺めていたがそのうちに熱い熱い涙が保の頸筋に傳わり出した。低い嗚咽から保の両肩をむしりとる様に摑み背中に顔を伏しての慟哭へ高まってゆく。保の背筋を幾条もの涙が熱くそして冷…
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