【前回記事を読む】自分は「商品」だ。社会に出れば、誰もが自分は自分のプロデューサーで、自分のセールスマン。明日も自分の名前を売る。そのために…
私は強くない
このように破天荒に生きていると強い女だと誤解されるが、それは大きな間違いだ。
もちろん私には強い面が沢山ある。普通の女ならテントを担いでフェリーに乗ったりしないし、雪の中ジムニー一台で上京したりしない。
私にはただ、そういった常識では考えられないことを実行に移す力があるだけで、それは決して強さではないのだ。
寧ろ私は弱さの塊だ。人々の表情一つに傷付き、人々の言葉一つに幻滅し、人々の思考が見えた時に絶望する。そうかと思えば、自分にとって残酷なことをしでかす時もある。人々には惰性でも続けるという力がある。
それは、組織や家族や故郷という枠組みで生きているかどうかの違いのような気もする。私は若くして自由を手に入れたがために、我慢を知らない。
一瞬でも違うと思ったら、全速力でその状況から脱出する方法を探る。それは自分を守る術でもある。そうして住居も職業も転々としているのだが、それは強さではない。
その状況で耐え忍ぶ力がないのだ。空の上でふわふわ浮いている風船のように、どこまでも流されている。風船が割れないように。