私の花は、はかなく消えた。自分が、宦官、それも、黒戸(ヘイフー)であることもわかっている。男をすてた宦官が、女を欲しがるなど、いい物笑いの種となるのが落ちであろう。浄身した宦官が、所帯をもつなど夢のまた夢である。大部分は、終生、一人だ。それも、わかっている。憧れるだけでよかったのだ。田閔(ティエンミン)のように、菜戸(さいこ)にほしいなどと、大それたことは、考えもしなかった。ときどき、言葉をかわ…
[連載]花を、慕う
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小説『花を、慕う』【第68回】堀田 冀陸
だが、その花は、手のとどかない、日月の彼方へ
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小説『花を、慕う』【第67回】堀田 冀陸
泪(なみだ)がぽたぽた落ちる…情けは人のためならず
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小説『花を、慕う』【第66回】堀田 冀陸
すずやかな明眸が曇る…人の心の奥底をよく看てとる子だ
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小説『花を、慕う』【第65回】堀田 冀陸
人間の本当の姿…カネと演出で簡単に洗脳されてしまう生き物
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小説『花を、慕う』【第64回】堀田 冀陸
彼らは去っていった…獲物を食い散らした虎のように
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小説『花を、慕う』【第63回】堀田 冀陸
耐えしのぶことのできない者に、未来はない。
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小説『花を、慕う』【第62回】堀田 冀陸
鉛のような失望感…こんなことができるのは、人でなしだけ
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小説『花を、慕う』【第61回】堀田 冀陸
イヤな目に遭って、魂は清まってゆく…それを信じてる
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小説『花を、慕う』【第60回】堀田 冀陸
この地下牢にあるものはただ一つ「絶望」それだけ。
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小説『花を、慕う』【第59回】堀田 冀陸
雇い主の秘密が隠された屋敷…すすり泣く声の正体は?
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小説『花を、慕う』【第58回】堀田 冀陸
はふ、はふ、ズルズル…「こんなにあたたかい麵はひさしぶり」
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小説『花を、慕う』【第57回】堀田 冀陸
眉目うるわしい人は、食べる姿も、清雅たるものだ。
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小説『花を、慕う』【第56回】堀田 冀陸
願い続けて3年。美しい娘に成長した少女との再会
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小説『花を、慕う』【第54回】堀田 冀陸
批判も揶揄も諷刺も、なにもかもがゆるされない。
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小説『花を、慕う』【第53回】堀田 冀陸
思わずぎょっとする。客が顔を覆っていた白布をはずすと…
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小説『花を、慕う』【第52回】堀田 冀陸
自分を殺すのだ。殺して、殺して、日々の生を拾うのだ。
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小説『花を、慕う』【第51回】堀田 冀陸
気軽に本音も話せない…ふともらした一言が命とりに
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小説『花を、慕う』【第50回】堀田 冀陸
娘は一心不乱に食べ続け…「おかわり!」どんぶりを差し出す
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小説『花を、慕う』【第49回】堀田 冀陸
「おじさん湯麵(しるそば)ちょうだい」若い宦官と思いきや…
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小説『花を、慕う』【第48回】堀田 冀陸
異国から商人が到着すると市場はいろめき立つ…彼らは上客だ