「風間さんが好きなのはね、香奈よ。聞いてる?」壁際に座った香奈は一人黙々とケーキを食べていたが、いきなり矛先を向けられて当惑した。「何で分かるの? 風間さんが言ったの?」美咲が努めて明るい声で言うと、「ううん」茜は首を横に振った。「でも、分かるのよ。正直者だから。なんだか香奈のことを聞きたがるの、まあ、香奈のせいじゃないからしょうがないけど、わたしこのごろむくれてるの」「それで、今日も芝居には行…
[連載]百年後の武蔵野
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小説『百年後の武蔵野』【第21回】栗田 哲也
「やっぱり、恋愛って面倒くさい」…それが結論!
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小説『百年後の武蔵野』【第20回】栗田 哲也
「恋って難しいよね」「わたしじゃないのよ」三人は黙った。
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小説『百年後の武蔵野』【第19回】栗田 哲也
「レコードの上の人形たちよ」…彼の芝居はよくわからない
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小説『百年後の武蔵野』【第18回】栗田 哲也
色づきがかった並木道…夏以来、虚脱感に襲われたまま
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小説『百年後の武蔵野』【第17回】栗田 哲也
クマ似の奴は気をつけろ!クマのぬいぐるみに目がないあの子
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小説『百年後の武蔵野』【第16回】栗田 哲也
僕に好きなものを聞くのは禁句なんです。何もないから。
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小説『百年後の武蔵野』【第15回】栗田 哲也
彼に手紙を書きたい…でも住所を兄に聞くのは絶対にイヤ!
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小説『百年後の武蔵野』【第14回】栗田 哲也
恋に落ちている…彼の話をしたがっている自分に気がついた
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小説『百年後の武蔵野』【第13回】栗田 哲也
楽しかった合コンが、後々苦しい思い出となった理由
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小説『百年後の武蔵野』【第12回】栗田 哲也
お皿を手渡したとき、手と手が触れ合って香奈は赤くなった。
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小説『百年後の武蔵野』【第11回】栗田 哲也
彼には女性の心を掴み取る、ぎらぎらした男っぽさが欠けていた
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小説『百年後の武蔵野』【第10回】栗田 哲也
口に出したことを後悔…兄たちのグループと合コンなんて
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小説『百年後の武蔵野』【第9回】栗田 哲也
あんなお高い子とあんな開けっぴろげな子が…なぜ友達に?
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小説『百年後の武蔵野』【第8回】栗田 哲也
彼女は、女西行と呼ばれた「とはずがたり」の作者を愛した。
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小説『百年後の武蔵野』【第7回】栗田 哲也
夕暮れの山で出会った謎の少女…まるで狐に化かされたようだ
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小説『百年後の武蔵野』【第6回】栗田 哲也
つい最近まで、電話一本掛ければ話のできた娘は、もういない。
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小説『百年後の武蔵野』【第5回】栗田 哲也
雑誌に娘の事が…「取材せずに記事を書くとは何様のつもりだ」
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小説『百年後の武蔵野』【第4回】栗田 哲也
警察は、消えた二人について事件と狂言の両面から捜査をした
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小説『百年後の武蔵野』【第3回】栗田 哲也
事件は起きない地域…若い巡査にとって夫婦の蒸発事件は初体験
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小説『百年後の武蔵野』【第2回】栗田 哲也
娘の相手は雑文を書いて暮らしている…堅気の商売とは思えない