第一部 八荘源
第二章 青春の宴
三
すでに仲間公認の彼女がいる村上を除けば、確かにみなもてない仲間だった。面白く、押しの強い中条がもてないのは不思議といえば不思議なことだったし、ハンサムな風間にしても、彼女の一人ぐらいいてもよさそうなものだった。
だが、風間と一番親しい村上の目からすると、風間がもてないのは無理もなかった。彼には女性の心を掴み取る、ぎらぎらした男っぽさがまるで欠けていたからである。
笠間や小林にいたっては、女の子と付き合った経験すら全くなさそうだった。彼等は男同士の間でも、何を考えているのかわからないやつ、と評されるような学生だった。そんな彼らにため息をつきながら、村上は文字通り世話女房のように彼らの世話をしてやっていたのである。
女の子たちが好奇心でどきどきしながら村上家のリビングルームに入っていったとき、彼女らを待ち構えていたのはそういう学生たちだった。女の子たちが、緊張してクスクス笑いを押し殺しながら、伏し目がちに目の前を覗いてみると、そこには王子様も芸能界のスター張りの人間もいなかったが、そんなに変な不細工な男ぞろいではなかったので、一安心した。
茜は中学時代の友達の早苗を連れてきていた。すると早苗はいとこの美咲を引っ張ってきた。美咲は今年短大に入学したてだから、他の三人より二年年上だった。
そんなわけで、予定の五人には一人足りなかったが、ともあれ五対四の合コンが成立していた。村上と香奈が一通りみなを紹介してしまうと、中条が言った。
「まあ、せっかくだからぽつんぽつんと話してるより、みんなでゲームでもして遊ぼうや」
「ゲームってどんなゲーム」と茜が聞くと中条は、
「二つ用意してきました。一つは危ないゲーム、もう一つは危なくないゲーム、皆さんどちらがお好みでしょう」
「まあ内容を説明しろよ」といわれて大テレにテレながら中条が取り出したのは、二冊の週刊誌だった。