【前回記事を読む】「抵抗すれば殲滅あるのみ」――バリバリッと音がして、塾生や農民たちの悲鳴が…やりよった。この時代に官僚が民衆を傷つけるなど…さっきの空砲で十分過ぎる恐怖を味わった農民や町人たちが、蜂の子を散らすように走り始めた。「総員! 退け!」塾生たちも細筒を構えたまま背走する。平八郎もまた、カイの後ろ襟をつかんで走り出す。百人に及ぶ群衆が、沈む船から逃げ出すネズミのように一の門に殺到した。…
[連載]鼠たちのカクメイ
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小説『鼠たちのカクメイ』【第25回】横山 由貴男
【大塩平八郎の乱】叛乱の残党数名が乗った小舟。その中には坊主に変装した平八郎もいて…「全員、腹を切って果てよう」
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小説『鼠たちのカクメイ』【第24回】横山 由貴男
「抵抗すれば殲滅あるのみ」――バリバリッと音がして、塾生や農民たちの悲鳴が…やりよった。この時代に官僚が民衆を傷つけるなど…
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小説『鼠たちのカクメイ』【第23回】横山 由貴男
「退がれ、さが…」大塩平八郎の声さえ飲まれていく。本隊はもはや烏合の衆。今攻撃されればひとたまりもない…と、その時突然!
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小説『鼠たちのカクメイ』【第22回】横山 由貴男
ああ、ぎりぎりの命のやりとり…俺はやはり、生まれる時代を間違えたな。――引き金を引くと、直後大男が倒れるのが見え…
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小説『鼠たちのカクメイ』【第21回】横山 由貴男
「米粒ひとつ残ってねえ!」…これが最初のほころびだった。大塩率いる一党は静まり返った。米や貴重品が運び去られていたのだ。
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小説『鼠たちのカクメイ』【第20回】横山 由貴男
(憎悪の色とは、このようなものか)…火矢が次々とあびせかけられ、界隈随一の大店が炎上。大坂の空が紅蓮に染まっていく。
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小説『鼠たちのカクメイ』【第19回】横山 由貴男
「米を買い占めて値を吊り上げ、飢える者横目に暴利を貪る悪徳商人…天誅!」けたたましい銃声のあと、ゴトン。看板が地に落ち…
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小説『鼠たちのカクメイ』【第18回】横山 由貴男
大塩平八郎自ら邸に火矢を放ち退路を断つ。率いる一党二十五名が行列をなし天満橋を渡る
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小説『鼠たちのカクメイ』【第17回】横山 由貴男
おふくろは捕まる前にオイラを肥溜めの中に隠してくれて、言ったんだ。「あんたは父親みたいになるな。」って
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小説『鼠たちのカクメイ』【第16回】横山 由貴男
まさか、今のこの泰平の世に謀反の狼煙を上げようなどという者がいるのか? しかも聞けば首謀者はわれらの仲間…
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小説『鼠たちのカクメイ』【第15回】横山 由貴男
「いずれ大坂天満で火の手が上がる。それが決起の合図だ。家族のために米を取りに参れ」大塩の声に、農民たちの心は大きく揺れていた
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小説『鼠たちのカクメイ』【第14回】横山 由貴男
罪状は「米を買ったこと」。“品切れ”の米市場、米の買取禁止令、溢れる餓死者…もはや限界や。この事態に大塩平八郎は…
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小説『鼠たちのカクメイ』【第13回】横山 由貴男
世間が飢餓に苦しむなか、貨物船に積み込まれる大量の米俵を目撃する。これが侍の世界...
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小説『鼠たちのカクメイ』【第12回】横山 由貴男
「ねえ、お兄さん。寄っておいでよ」…吉原で見かけたのは元妻だった。元妻の人生を狂わせたのは自分だ。見て見ぬふりをした。
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小説『鼠たちのカクメイ』【第11回】横山 由貴男
田沼意次は、政敵・松平定信の陰謀で『賄賂政治の張本人』という汚名を着せられて失脚した。定信は、田沼政治の公式記録を改ざんし…
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小説『鼠たちのカクメイ』【第10回】横山 由貴男
この間まで人斬りだったオイラに、何でここまでしてくれるんだろう? …生まれて初めての“ほっこり”。美味い、そして温かい
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小説『鼠たちのカクメイ』【第9回】横山 由貴男
爆ぜる音が連続して鳴った。一斉射撃の訓練らしい。「すげえ。おっちゃん、戦でも始めんのかい?」「坊主、ええ勘しとるやないか」
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小説『鼠たちのカクメイ』【第8回】横山 由貴男
「大塩先生もおまえのと同じ銃をお持ちだ。名手だから、あとで教えてもらうといい」どんなひとなんだろう?大塩平八郎って。
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小説『鼠たちのカクメイ』【第7回】横山 由貴男
この男に「死」を宣告する。塾生全員にもだ。利用できるものは全て利用し、あの世で詫びる。それしかあるまい。
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小説『鼠たちのカクメイ』【第6回】横山 由貴男
「拙者を捕らえれば、お主の上司も泥をかぶる…今から覚悟をしておけ」不正した役人の言葉。腐敗は幕閣まで浸透している…?
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