不満を呟くそのうしろから声をかける。「鈍刀とはご挨拶だな。名刀とは言わぬが、そこそこの……」意義は小刀を握る左の手を見てから、自分の見落としに気づいた。「そうか、うっかりしていたな。貸してみろ」少年から小刀を取り上げ、まずは正対に構える。「刀は大体、右遣いが斬るようにできているんだ」決してなまくらでないことを証明するように、青竹を切ってみせた。胡瓜か大根を包丁で捌くような軽さと切り口に少年は少し…
[連載]鼠たちのカクメイ
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小説『鼠たちのカクメイ』【第3回】横山 由貴男
【浪人×殺し屋少年】自分を殺そうとした少年の手に、拳銃を握らせた。「今日からおまえの雇い主は俺だ。」と…
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小説『鼠たちのカクメイ』【第2回】横山 由貴男
野良犬がたむろしている。何かを争って食っているようだ。犬たちを石で追い払うと、そこには真新しい遺体が…
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小説『鼠たちのカクメイ』【新連載】横山 由貴男
尾行の気配に追手をおびき寄せて始末しようと仕掛けさせると十代半ばの少年のようで…
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