【前回記事を読む】「革命!」の叫びと共に放たれた“刃”──カイの一撃は大御所・徳川家斉を貫いた

鼠たちのカクメイ

「まずは、槍」

忠邦に聞こえるように言った。数人の槍隊が門前まで来たとき、カイはリボルバーを連射した。一発、二発……六発。一瞬にして六人の先鋒隊が雪崩を打って倒れていった。後方に続いていた者たちの足が止まる。

「どうだ、老中。連射する鉄砲なんて見たことないだろう?」

観客の忠邦に解説してやる。しばらく唖然としていた槍の残兵と弓隊が本丸に引き返し始めた。

「異国の武器か。なるほど逆賊にふさわしいな。だが、そこまでであろう。これからお主が弾を込め直す前に……」

忠邦が言い終える前に、カイは拳銃から蓮根のような弾倉を抜き取り新たな弾倉を装填し直した。ものの五秒。

「込め直す前に、何だって? さあ、次は弓!」

上司に命令されたのか、弓隊が恐る恐る中雀門に歩み寄ってくる。カイは門を飛び出して、弓隊の前に己の姿をさらした。

「射!」

好機とばかりに隊長の号令。弓隊が弓を引いた瞬間、カイは地面に倒れこむ。射られた十数本の矢は頭上を通り過ぎ、忠邦の足元に突き刺さった。

「ヒイイ」

悲鳴を上げる人質をよそに、カイは匍匐前進を始めた。弓は立ってなきゃ撃てない。だがオイラの相棒はオイラと寝てくれるんだぜ。パン、パン。地面に伏せたまま弓の射手の足元を狙撃していった。槍に続き弓隊もドミノ倒しに崩れていく。最後方の白兵隊は上級武士たちなのであろう、一目散に退却し本丸の中へ引っ込んでしまった。

立ち上がったカイは拳銃を構えたまま、馬と忠邦のもとへ戻った。