静かに抱きしめ返してくる亜希子の背中をさすりながら、春彦は郁子とよく似た亜希子の温かさが二年の間にうらぶれた心をほぐしていくのを感じていた。あの日、同じように郁子を抱きしめられていたのなら、という思いと、もはや悲しみを共にする同士である亜希子が、どうしても春彦の脳裏で交錯するのだった。気が付くと、春彦は思いの丈を込めた口付けを、亜希子にしていた。その口付けに応じている自分を、亜希子は意外に思って…
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