【ポイント】
人体を会社にたとえると、体組織は《事業所》、侵害刺激は《事業所を損傷する可能性がある刺激》、侵害受容器は《事業所》に設置されている《異常警報センサー》、そして侵害受容体はセンサー本体に含まれる《刺激を電気信号に変換する部品》に該当します。ひと言で言えば、痛みとは「体で受け止め脳で知覚されたもの」です4。
1 専門的には「イオンチャネル」という。チャネル(チャンネルともいう)とは水路のことで、神経を包む細胞膜にある穴のこと。チャネルが開くと細胞の外部から内部に、逆に内部から外部に、イオンが流れる。つまりイオン電流の「波」が発生する。
2 このためにそれ自体は熱くも冷たくもないのに、皮膚に触れるとトウガラシは熱く感じ、メントールは冷たく感じる。トウガラシは触れても食べても、熱く、そして痛く感じられるのはそのためである。ちなみにニワトリはトウガラシの受容体をもたないので、平気でトウガラシを食べるという(激辛が大好きなのかもしれないが。ニワトリに聞いてみないとわからない)。
3 脳神経細胞の状態を感知するセンサーは存在しない。しかし、脳血管や硬膜には侵害受容器があるので脳疾患が痛みを感じないというわけではない。脳卒中や脳腫瘍は頭痛を症状とする。
4 痛みのしくみの基本的理解は「体組織《事業所》の《異常警報センサー》がとらえた侵害刺激《事業所を損傷する可能性がある刺激》が活動電位《電気信号》として脳《本社》に伝わり、《本社》にいるあなたの〝心〟という《社長》が気づいた」という流れで理解できます。
次回更新は7月27日(日)、8時の予定です。