「こんな傷は唾でも付けておけば治ってしまうわ」横着な口を利きながら、イダの皺だらけの両手は、傷口ではなくシルヴィア・ガブリエルの胸や腹、鳩尾(みぞおち)を探っていた。村にいた頃、山向こうの異民族を見たことのあるシルヴィア・ガブリエルであったが、この老人ほどに珍奇な者に会ったことはない。その老人がなぜ先ほどから傷を治すでもなく自分の体をあちらこちら探るのか。老人の訝(いぶか)しい仕草に堪りかねて、…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第21回】中條 てい
「お前、もしやあのギガロッシュの向こうから来たんじゃないのか」警戒心剥き出しのガブリエルに、老医者が耳元で小さく囁いた
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小説『ヴァネッサの伝言』【第20回】中條 てい
目の前に従者の若者の美しい髪が揺れ、彼女はそこを目掛けて思いっきり突進した。短刀はその若者の…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第19回】中條 てい
完全に敗北したイヨロンド。だが、ふいに俊敏な動作で立ち上がり、スカートの中から取り出した抜き身の短刀を手にし…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第18回】中條 てい
イヨロンドが血相を変えて突然乗り込んで来た! それまで親睦気分で狩りだのチェスだのとのんびり過ごしていたが…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第17回】中條 てい
二年前からイヨロンドといい仲になり愛人となったバスティアン。彼がイヨロンドの夫の突然の死に大きく関わっていたようで…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第16回】中條 てい
「何じゃと!」イヨロンドは血相を変えて叫んだ。シャルルのもとに送り込んであった内偵からの報告によると…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第15回】中條 てい
大至急、王の下へ使いを出し主従関係が成立したことを伝えるが、もしもこのことがイヨロンドの耳に入ってしまうと大変なことに…
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小説『人生の切り売り』【第8回】亀山 真一
彼氏ができたと溢れんばかりの笑顔を見せながら報告してきた妹。「……タクミくん?」その名を聞いて、急に嫌な予感がした
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小説『ヴァネッサの伝言』【第14回】中條 てい
瞳の美しさに思わず「おお!」と声を発してしまいそうになるのをやっと堪えた。それでもたまりかねて「見事じゃ」と小さく呟いた
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小説『ヴァネッサの伝言』【第13回】中條 てい
届いた一通の書状には、面白い筋書きが書いてあった。強欲女のイヨロンドの悔しがる顔が目に浮かぶようで愉快になったが…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第12回】中條 てい
母との骨肉の相続争いについて、もしかしたらこの青年が何か良い打開策を示してくれるかもしれない。期待して話してみたところ…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第11回】中條 てい
昨晩、父上が夢に現れて私に告げた内容にぴったり当てはまる者との出会いがあったが…。これはただの偶然だろうか?
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小説『ヴァネッサの伝言』【第10回】中條 てい
仮死で生まれたというのに容姿端麗で立派な姿の若者。強運の持ち主とも思える、この若者をこのまま追い返すには惜しい気がする…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第9回】中條 てい
荒馬をなだめて乗りこなしたという旅人は、さぞかし腕っぷしの強い豪壮な男だろうと思っていたが、その姿は意外にも…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第8回】中條 てい
父が急に病で死んだ。父はおそらく、母、イヨロンドに毒殺されたのである。急死する前、父に密に呼び出され、ある遺言書を託された…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第7回】中條 てい
妹のために準備されていた嫁入り支度を我が物にして玉の輿に乗ったイヨロンド。結婚してしまえばこっちのもの、とでも言うように…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第6回】中條 てい
大人の目を盗み、血の繋がらない幼い妹の耳元でそっとこう囁いたイヨロンド。「お前なんか、いつだって追い出してやれるのだからね」
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小説『ヴァネッサの伝言』【第5回】中條 てい
「この村の扉を開放して、みんなで堂々と外に出ていきたい」という青年。村で一番具合の悪い彼を必死に止めようとするものの…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第4回】中條 てい
生まれたときから体が弱く、幼い頃からずっと面倒を見てきた弟同然の青年。そんな彼からある衝撃の言葉を聞き…
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小説『ヴァネッサの伝言』【第3回】中條 てい
外の世界から隔絶されたこの村から出ていくところを見つかり捕らえられた者がいた。遂に戻らず、火炙りになったのかもしれないと…