紅の脈絡

ガイ殿下。ただ今レーダーにて貴船を捕捉いたしました。同時に貴船の近くに、人間の住む惑星を確認。惑星の名は「地球」。しかし、まだ銀河連邦にも属さない発展途上惑星ですので、宇宙船などを見たら大騒ぎになるでしょう。
 

「地球、ですか。それなら、十年ほど前、銀河系史料編纂局が発刊した『若い惑星たち』という写真集と論文で拝見しました」

左様ですか。では、地球の日本という国が、レイギッガア王国とほとんど同じ言語形態を持っていること、また国民の思考や文化などにレイギッガア王国と共通する点が多いことはご存じですね?

「はい」

では、殿下、まず地球に不時着することをお勧めします。

「不時着……『日本』にですか?」

はい。「日本」の北部に位置する北海道といわれる場所の映像を送ります。

「まあ、ここを見て。この部分を拡大するととても大きな土くれがあるわ。この中に宇宙船を入れて、上から残りの土をかけたら、オムライスみたいですわね、お兄さま」

「エリス! 危険だからシートベルトをしっかり締めて座っていなさいと言っただろう?」

ガイは、突然侵入してきた愛らしい声に、毅然とした態度で向き合った。