「牧師の奥さん」次の日からカトリーヌはきっかりお昼の三時に息を切らしてやってくるようになった。ワルツさんはそんなカトリーヌのために温かいお茶を用意した。「時間になるまでゆっくり読むがいい。カトリーヌ」ワルツさんはカトリーヌに肘掛椅子を譲ろうとするが、カトリーヌはニコリともせずに「ありがとう」と言ったきり、本を選んで床に座り込んだ。「まるで本にかじりついている虫だな」ワルツさんの独り言はカトリーヌ…
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エッセイ『世界自然遺産の島 おがさわら慕情』【第2回】手塚 博治
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歴史・地理『幻殺』【第2回】本間 蒼明
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エッセイ『認知症も悪くない』【第2回】西口 守
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小説『見上げれば空はブルー』【第13回】EIKO
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