ドライバーの待遇改善には生産性向上が必要
では、ドライバーの待遇を「他産業並み」へと底上げする手段はあるのだろうか。この問いへの答えがあるとするなら、「物流の生産性向上」ということに尽きる。
ドライバーに給与を支払うトラック会社も、資本主義社会を構成するイチ民間企業でしかない以上、トラック運送で生み出される付加価値以上の給与を支払うことはできない。物流の生産性の低さに手を付けないままで、待遇だけを改善するのは難しい。
ところで、日本のドライバーの給与の低さを語る上で、よく引き合いに出されるのが米国の好待遇である。
少し前に米国の流通大手・ウォルマートが「新人ドライバーを年収1400万円で雇用する」とのニュースが流れ、物流業界内で大きな驚きをもって受け止められたのだが注1、ドライバーであっても1千万レベルの給与はアメリカでは珍しくない。
もちろん、円安の影響や欧米のインフレ傾向などの外部要因も無視はできないが、それでも400万円台が標準的である日本におけるドライバー給与の3倍以上であり、埋めがたいほどの差である。
では、米国のドライバーの給与がこれほど高い理由は何か、といえば、やはりその生産性の高さである。
注1:AMB PROCURES LLC.の記事による『The rise of the chief supply chain officer』https://www.procuresllc.com/post/the-rise-of-the-chief-supply-chain-officer
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