【前回の記事を読む】日本では「物流・サプライチェーン」担当は役員になれない? その原因は日本の雇用環境にもあった。
第2章 物流・SCM軽視の実態
2-3 物流・SCM担当役員(CSCO)の不在
ある企業にCSCOが必要かどうかは、「ロジスティクスやSCMに力を入れることによって、企業価値が上がるかどうか」で決めるべきであり、その最終決定権は取締役会とその取締役を選任する株主にある。
CSCO設置と企業統治の問題はここで述べたほど単純ではないのかもしれないが、一方で、マネジメントへのグリップの強い企業─例えば外資系企業や、いわゆるプロ経営者のように、経営トップに強いリーダーシップがある企業─ では、CSCOに強い権限が与えられている傾向があることは、筆者の経験上、かなり確実である。
また、図表9に挙げた中に、優れた企業統治で知られた企業が多々含まれていることもその傍証である。
株主主導での企業統治には異論があるかもしれないが、ステークホルダーによるマネジメントのグリップが弱いことによって、企業価値が損なわれているとするなら、CSCOの不在は日本経済の発展を阻害する重要問題だと言えるかもしれない。