新宿を歩く。靴裏には誰かが吐き捨てたチューイングガムがへばり付いている。どこからか流れてくるアイドルの無責任で安っぽい歌詞が耳障りだった。男、女。顔が平面に並んでいる。似非(えせ)の大人たち。本当の大人はどこだ。手本となるべき大人はどこにいる?《最近、帰ってこないね》と、喜美子からLINEが入っていた。これは喜美子自身が少女不在の理由を把握できない不安の表れ、つまり、嫌われ不安が先行したための心…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第18回】華嶌 華
面倒臭えな。《今どこにいるの?》《何か辛いことでもあった?》《お返事ちょうだいね》大人のくせに。偽善者に心配されたくない。
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小説『SHINJUKU DELETE』【第17回】華嶌 華
欲しいものない? 行きたいとこは? 誕生日いつ? 何が欲しい?…なんでもしてあげるから、どうか私を嫌わないで。ずっとそばにいて
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小説『SHINJUKU DELETE』【第16回】華嶌 華
私がいなければ、この子は途方に暮れる、暮れてほしい。エゴ?…だとしても、もっと近づきたかった。もっと。もっと。もっと。もっと
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小説『SHINJUKU DELETE』【第15回】華嶌 華
(東京に出れば何かが変わる。東京にさえ行けば、きっと…)実際はどうだ。トー横に流れ着いた。風俗、パパ活、たちんぼ…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第14回】華嶌 華
部署の空気は、ルッキズムに満ちていた。同性からは憧憬の目を向けられ、男性社員からは、はっきり「女の若さ」を求められ…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第13回】華嶌 華
「もうやだ、死にたい、しんどい」なのに子どもを産む? 自分のしんどさを、子を産んで消化する。どこまで行っても自己都合
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小説『SHINJUKU DELETE』【第12回】華嶌 華
(おめでた婚でしょ?)(ママになるんだねえ)幸せにのぼせた新郎新婦の下品な顔。皆が「幸福」。ここに私の居場所はない。
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小説『SHINJUKU DELETE』【第11回】華嶌 華
男性社員からは“女性”として見られるが、企業においては“強い女性”でいなければ上にあがれない。さらに…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第10回】華嶌 華
40代半ばにして、男性経験もない。私はつまり、独り身で、趣味もなく、仕事しかしてない女。会社に行けば人はたくさんいるけど…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第9回】華嶌 華
親の後の風呂に抵抗があった。親の裸も見たくなかった。「家族だから大丈夫なのが当たり前」? 他人のほうがマシだった。
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小説『SHINJUKU DELETE』【第8回】華嶌 華
SNSで「#家出少女」を名乗ると、《泊まっていいよ!》と「神」が降臨するらしい。だけど、この子に限ってそんなことは…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第7回】華嶌 華
この子は〈少女〉だ。愛おしさを感じ、私はうろたえた。母性、庇護欲、懐かしさ…心が縦横無尽に浮遊して、自分の年齢は消えた。
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小説『SHINJUKU DELETE』【第6回】華嶌 華
精神はくたくたでも、スーツと顔の皺は消した。“キャリアウーマン”だから。冗談を見極め、セクハラまがいの言動も受け流し…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第5回】華嶌 華
確かに貯蓄はあった。会社から徒歩圏内の一等地に住み、望めば好きなものを毎日飲み食いできる。「独身貴族」も板に付いてきた
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小説『SHINJUKU DELETE』【第4回】華嶌 華
想像以上に、若さに執着している自覚はある。“お姉さん”と呼ばれたのが恥ずかしい。この子からすれば、“お母さん”でも…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第3回】華嶌 華
トー横少女の“おうち”事情「あー、ネカフェとかマックとか、ここに泊めて〜っていうときもあるけど…それも変。だって…」
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小説『SHINJUKU DELETE』【第2回】華嶌 華
“トー横”から奥へ奥へ、少女をストーキングする“キャリアウーマン”。…なんだろう。地下に潜り、重い扉を開けると…
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小説『SHINJUKU DELETE』【新連載】華嶌 華
夫も娘も本当はいない、誤魔化してきた。起床して出勤、夜遅くまで働き、孤独に床に就く。同期連中も、新入社員も産休取得者も…