夫と寝室に行ってみると、まさに父は息を引き取るところだった。みぞおちが痛い、と小さく言ったあと、父は呼吸をしなくなった。「お母さん! 救急車! 里子、人工呼吸しよう!」夫は必死の形相で父に覆いかぶさり、私は夫に言われるがまま両手を父の胸に当て、押した。でも、力が入らない。混乱の中、私の頭には、このあと病院に運ばれて、管だらけになる父の姿が浮かんだ。お父さん、今もう逝ったよ……。すうって……。起こ…
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エッセイ『屋久島、そして雲ノ平へ』【第11回】小梨 里子
陣痛で叫ぶ私の横で、夫は涙を流していた。痛みの中で、私は「この人、いい人だなあ」と改めて感じていた。
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小説『ジパングを探して!』【第4回】大和田 廣樹
亡くなった母の遺品整理中に知ったこと、教会への寄付の履歴…「母はなぜ、キリスト教徒になったのでしょうか?」
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エッセイ『屋久島、そして雲ノ平へ』【第10回】小梨 里子
「男同士だから、俺がやるよ」―新婚の私と夫は、施設を抜け出した父と暮らすことになった。一番大変な排泄や入浴介助に、夫が…
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小説『ジパングを探して!』【第3回】大和田 廣樹
母の葬式後に出てきた23年間分の「家計簿」。これを読んでいるうちに嗚咽がこみあげ涙が止まらなくなり…
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エッセイ『屋久島、そして雲ノ平へ』【第9回】小梨 里子
「娘さんと結婚させてください」父は彼に会わせられるようなしっかりした人ではなかった。そして父が発した言葉は...?
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小説『ジパングを探して!』【第2回】大和田 廣樹
亡き母が隠した父の姿とは。鍵がかかった父の研究室には大量の中国語で書かれた研究資料が...
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エッセイ『屋久島、そして雲ノ平へ』【第8回】小梨 里子
自動車教習所の卒業検定で大苦戦。3回目の試験も不合格、涙を流し4回目に臨むと...
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エッセイ『中学最後の決断』【第13回】新澤 唯
何年もの時間と親の金を浪費した。望んだ業界に就職するのも限りなく不可能だ。それでも、自分の本当の思いに私は気づいたから…
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エッセイ『中学最後の決断』【第12回】新澤 唯
「本当の一人ぼっち」を感じた恐怖で、頭が真っ白になった。「一人にさせてほしい」と言ったことには後悔していないけれど…
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エッセイ『中学最後の決断』【第11回】新澤 唯
歴史的な建築もラグジュアリーブランドも、当時の未熟な私にとっては目をひかない、ただの風景だった
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エッセイ『中学最後の決断』【第10回】新澤 唯
不朽の愛の名作『ロミオとジュリエット』の舞台ヴェローナ 「どうしてあなたはロミオなの」と謳ったバルコニーを眺める。
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エッセイ『中学最後の決断』【第9回】新澤 唯
美しい街並みが広がるヴェネツィア。しかしヴェネツィアは環境問題が最も深刻な都市の一つでもある。
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エッセイ『中学最後の決断』【第8回】新澤 唯
記念撮影でピサの斜塔をパンチ...イタリアという国は世界遺産周辺や街を歩くだけでも目に楽しい。
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小説『ジパングを探して!』【新連載】大和田 廣樹
ゴミ同然となった母の遺品のなかにひとつ、心をどきどきさせる鍵をみつけた…
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エッセイ『中学最後の決断』【第7回】新澤 唯
文化遺産を現地で見た私が考えなければならないこと。それは戦争と平和に対する問いと答え
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エッセイ『中学最後の決断』【第6回】新澤 唯
チーズが苦手の祖母が巨大ピザを口に入れた瞬間!? チーズ無くしては語ることができないイタリア料理
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エッセイ『中学最後の決断』【第5回】新澤 唯
期待感を大きく膨らませて訪れるローマ 目にする精巧な芸術作品に私は心を躍らせた
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エッセイ『うっかり自転車で日本一周していた』【第20回】河瀬 敏樹
福井県に入りカフェを探すもなかなか見つからず... 目の当たりにする過疎化した地方都市の姿
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エッセイ『屋久島、そして雲ノ平へ』【第7回】小梨 里子
ゼミ生活を満喫していたらあっという間に卒業間近になり地元に帰る前にあるチャレンジをすることに
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エッセイ『うっかり自転車で日本一周していた』【第19回】河瀬 敏樹
22カ所目となる石川県庁に到着。一見巨大なホテルかミュージアムかという佇まいに思わず!?