【前回の記事を読む】西部劇で見た大きなサボテン、青空を渡っていくダイナミックな雲…行けども、行けども遥か彼方に地平線を望みながらのバスの旅

初めての海外旅行 1971年のアメリカ

【ミシシッピー州】

さて、感心ばかりもしていられない。バスターミナルから早速カーター夫人に電話する。

「オー、グッド。グレート」と言ってすごく喜んでくれ、すぐに迎えに行くと言ってくれた。

「本当に、ついにここまで来ちゃったよ」と一人で感慨に耽(ふけ)る。いざこんなはるか遠い所まで来て見ると、現地の顔見知りが居てくれて自分の来訪を喜んでくれるという事実はすごく心強くて嬉しい。

バスターミナルの外の道端で待っていると、しばらくしてアメリカらしい大きな車で数年前の京都以来の懐かしいカーター夫人が迎えに来てくれた。豊かな明るいブラウンの髪を大きく後ろでまとめ、めがねをしたインテリ風の顔、センスのいい明るい色のワンピース姿で迎えてくれるニコニコと優しい笑顔は以前と変わらない。

挨拶の後、早速車に乗り込んで夫人の家へと向かう。途中で見かける家々は、ゆったりと余裕のある大きさで、周りは芝生、所々に植え込みがあっていろいろな色彩の花を咲かせている。垣根や囲いのない家が多く、それだけ開放感があって落ち着いた佇まいである。

しかし、その途中で通った区域は明らかに他と違う雰囲気で、家々の様子も貧しく、ペンキが剥がれていたり、壁が壊れていたりのバラック風のものが多い。庭の中ほどには洗濯物が風に揺れて、生活感を漂わせている。付近を行き交う人々や道端で遊ぶ子供たちはほとんどが黒人で、ここは黒人の住民の住む区域らしい。

いきなり、この地域の人種問題を見せつけられた様で、アジアから来た自分の立場を急に意識させられて、またまた複雑な思いである。