二〇一六年一月七日(木)「去年の春にね……」母が唐突に話を始めた。今日は身体の調子も気分も良いようであるが、それでも、このところ一日のほとんどを横になり過ごすようになっている。「玄関の前に大きな毛虫がぶらさがっていてね、それで、(アパートの)隣の部屋の人がホウキで叩き落としてくれたんだけど。そしたら、落ちた毛虫が、身体をよじって恨めしそうにお母さんをずっと見ていたの……。それが今も忘れられなくて…
[連載]ありがとうをもう一度
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第22回】残間 昭彦
無邪気な笑顔を、いったいいつまで見ることができるだろうか。
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第21回】残間 昭彦
想い出のアルバム…数週間かけて母の半生の写真集を作り上げた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第20回】残間 昭彦
「歌って楽しいんだね」母は言葉の発声もはっきりと戻ってきた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第19回】残間 昭彦
飛び抜けて高価な薬品…カード地獄の雪ダルマが大きくなった
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第18回】残間 昭彦
「女学生みたいに可愛くなったよ」娘のように大笑いする二人
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第17回】残間 昭彦
「うちの子も人の子もない、叱る時は叱る」母は剛毅に笑った。
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第16回】残間 昭彦
ただ、それだけの、最後になるかもしれないバースデイ
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第15回】残間 昭彦
新しく産まれ育ってゆく命と、老いて病いを得ていく命の交差点
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第14回】残間 昭彦
「たいていの病気は良くなる」兄は医療機器を抱えて病室に来た
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第13回】残間 昭彦
看護師たちの挨拶に涙…母は「ただいま」と言って笑顔を返した
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第12回】残間 昭彦
「心の財だけは来世へ持ち越せる」迫る死を覚悟した母の境地
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第11回】残間 昭彦
嘘の放射線治療をする…「お母さんを騙すしかないでしょう」
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第10回】残間 昭彦
私は医師にキレた…「最善を尽くしますという一言がほしい」
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第9回】残間 昭彦
いくらお医者さんでも息子でも、わたしは恨むからね……
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第8回】残間 昭彦
まだ何も始めていませんので万策つきたわけではありません
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第7回】残間 昭彦
何とかして生きようとするのが人間じゃないか。
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第6回】残間 昭彦
母は今、その意志を貫き決心を固めようとしている
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第5回】残間 昭彦
不出来な子だとて捨てられる親がいますか
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第4回】残間 昭彦
人は何年も前から少しずつ死ぬ準備をはじめる
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第3回】残間 昭彦
母が誰に愚痴をこぼしても「まさかぁー」と取り合う者はいなかった