第一章　青天霹靂　あと377日

二〇一五年

十二月十四日（月）

さて、待ちに待った正の母（かぁ）ちゃん、新堀さんの来訪である。親友の顔を見て安心したのか、母は、途端に顔を真っ赤にして涙を流した。

「頑張って元気になって、また一緒に遊びに行こうね。約束の松茸狩りだって行かなくちゃいけないんだから……」

母の涙は一層の大滝になっていく。ひとしきり泣いた後、手土産の弁当を持ち、いつもの四階ホールに行く事にした。

母は元気なところを見せようと押し車にしがみついた。でも近頃では、不意に力が抜けて転んだりする事があるので、常に横で支えていなければいけない。

椅子に腰かけ落ち着くと、新堀さんが母の髪を御下（おさ）げに結ってくれ、「ほら、女学生みたいに可愛くなったよ……」と。母もニコニコ顔でご機嫌だ。

「さぁ、写真撮るよ……」と、カメラを向けると、「美人が二人だから撮りがいがあるわね……」と、陽気な新堀さんが言い、「五十年前ならね……」と、私が返した。ムスメのようにコロコロと大笑いする二人の姿が嬉しい。

[写真]何がそんなに楽しいのか……ババアの女子会はつきない

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このあいだアパートに帰宅した際、「新堀さんにあげるんだ……」と、言ってまとめておいたアクセサリーやスカーフの入った袋を私に持ってこさせた。