「なんか変な影響受けてない? 周りが見てるからって、そんなの見なくていいんだよ」「はいはい、じゃ、入りまーす」鼻歌を歌いながら少女がボタンを外していくので喜美子は焦って乱暴に外に出た。五分ほど経って、喜美子はアッと気付く。そうだ、着替え、ないよな……。自分の下着を貸すわけにはいかない。中年のショーツは少女にとってサイズオーバーだし、これ、着ていいよ、とつまらないトーンの布っ切れを差し出すのはさす…
[連載]SHINJUKU DELETE
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小説『SHINJUKU DELETE』【第8回】華嶌 華
SNSで「#家出少女」を名乗ると、《泊まっていいよ!》と「神」が降臨するらしい。だけど、この子に限ってそんなことは…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第7回】華嶌 華
この子は〈少女〉だ。愛おしさを感じ、私はうろたえた。母性、庇護欲、懐かしさ…心が縦横無尽に浮遊して、自分の年齢は消えた。
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小説『SHINJUKU DELETE』【第6回】華嶌 華
精神はくたくたでも、スーツと顔の皺は消した。“キャリアウーマン”だから。冗談を見極め、セクハラまがいの言動も受け流し…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第5回】華嶌 華
確かに貯蓄はあった。会社から徒歩圏内の一等地に住み、望めば好きなものを毎日飲み食いできる。「独身貴族」も板に付いてきた
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小説『SHINJUKU DELETE』【第4回】華嶌 華
想像以上に、若さに執着している自覚はある。“お姉さん”と呼ばれたのが恥ずかしい。この子からすれば、“お母さん”でも…
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小説『SHINJUKU DELETE』【第3回】華嶌 華
トー横少女の“おうち”事情「あー、ネカフェとかマックとか、ここに泊めて〜っていうときもあるけど…それも変。だって…」
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小説『SHINJUKU DELETE』【第2回】華嶌 華
“トー横”から奥へ奥へ、少女をストーキングする“キャリアウーマン”。…なんだろう。地下に潜り、重い扉を開けると…
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小説『SHINJUKU DELETE』【新連載】華嶌 華
夫も娘も本当はいない、誤魔化してきた。起床して出勤、夜遅くまで働き、孤独に床に就く。同期連中も、新入社員も産休取得者も…