酒蔵の入り口高くに、茶色く大きな玉が、ぶら下がっていた。直径一メートルほど、茶色いイガ栗のようだ。枯れた針葉だけで、できているらしい。表面は、三百六十度すべてチクチクし、白漆喰の壁面に吊り下げられている。いかにも、誇らし気だ。何かの呪(まじな)いにでも、使うのだろうか? 玲子は、初めて目にして、考えていた。「杉玉、またの名を酒林(さかばやし)と言います」背後から、穏やかな声をかけられた。振り向く…
新着記事一覧
-
小説『山田錦の身代金』【第26回】山本 モロミ
やけに酒の歴史に詳しい老紳士…ひょっとしてこの人が?
-
エッセイ『喰い改めよ! あなたはあなたが食べたものでできている』【第8回】吉川 沓那
税理士から待った!の声「玄米スープの開発にこれ以上は…」
-
エッセイ『音楽のジャポニズム!~考証・三浦環』【第7回】田辺 久之
三浦環からの仕送りで、母はばあやと女中を雇い暮らしていた
-
俳句・短歌『歌集 祈り』【第6回】佐藤 彰子
歌集「祈り」より三首
-
小説『空虚成分』【第6回】媛 ひめる
父親も家政婦も、私に興味を抱かないという共通点がある
-
人生論『神からの自立』【第27回】岡本 浩作
隕石が直径1㎞で、人類は絶滅するに近い災害になる
-
ビジネス『MBA的医療経営』【第19回】角田 圭雄
どの土俵なら勝てるかを見極めて、勝てる土俵を選ぶ
-
小説『緋色を背景にする女の肖像』【第36回】阿佐見 昭彦
迷いに迷った末、彼女はついに驚愕の事実を語り始めた
-
小説『正統解剖』【第5回】鶴岡 令士朗
屍体との対面。ある種の自然な感動の沈黙が横たわっていた
-
小説『ブルーストッキング・ガールズ』【第12回】杉山 正之
百姓は飢えているのにお上は見て見ぬふり…維新前と変わらない
-
エッセイ『リウマチ歳時記』【第18回】山中 寿
寛解状態に入った後、薬をいかに止められるかが今後の課題
-
人生論『神からの自立』【第26回】岡本 浩作
宇宙人がその気なら、人類は戦う機会なく瞬時に殲滅される
-
小説『流行作家』【第11回】夏目 ゆきお
このかけがえのない家族を自分の手で守らなければ…
-
俳句・短歌『歌集 花の影』【第4回】松森 邦昭
短歌集「花の影」より三首
-
小説『山田錦の身代金』【第25回】山本 モロミ
原価が半端ない!たこ焼き屋が太白ごま油を使うなんて…
-
エッセイ『霧中の岐路でチャンスをつかめ』【第26回】仲宗根 稔
彼女のお母さんと食事中に…「うちの娘を嫁にもらってほしい」
-
俳句・短歌『愛のままで咲く』【第18回】馬場 美那子
句集「愛のままで咲く」より三句
-
小説『ずずず』【第5回】草間 かずえ
ひまりは毎回軽く会釈をしてくれるだけ…笑顔はどこにいった?
-
エッセイ『レックレス2012』【第7回】やっちゃん
これは面白いことになるぞ~。小説まで書いちゃうかも~!!
-
俳句・短歌『句集 曼珠沙華』【第18回】中津 篤明
句集「曼珠沙華」より三句