【前回の記事を読む】古代の人たちの謎…たった2センチメートルの間から朱を採掘?

エスカレートするいじめ

「あーあ。高松三越じゃ、いかんのか。都会風吹かしとる」

「ブスがぶりっ子するなよな。何様」などと聞こえよがしに言う。

「都会の高級レストランの料理を食べ慣れた口には、田舎の学校の給食なんて食べられんだろう」と言いながら、はるなの給食を取り上げようとする。

「へなちょこなあんよでは、跳び箱を飛ぶんはむりじゃけん」と、体育の時間に跳び箱や鉄棒の順番を飛ばされそうになる。

ドッジボールで遊んでいる時にも入れて貰えなかった。最初、一緒にドッジボールをしていたみやが抜けて、そばに寄り添った。

「私、ドッジは得意じゃないから」とちさもはるなに付き合った。

「いいじゃない。ちさちゃんはあんなに笛が上手だもの」

「そうよ。私なんか音楽はあんまり得意じゃないから、ちさがうらやましい」

「みやちゃんは何が得意なの」

「絵かな。それと社会科」

「私は国語かな。それとパソコン。パソコンで絵を描いて転校前の友達と交換したり」

初めて得意科目の話をして、特技の話もできて、やっと学校の仲間になれたと感じた。

その後も、男子たちのいじめはエスカレートしていった。はるなが何か言う度に、そのままリフレインして大笑いをした。筆箱を落として、鉛筆の芯を折ってしまったりもした。はるなの両親はしばらく静観していたが、娘の様子から、まだうまく同級生になじめていないことを心配し、学校に相談した。

担任の四宮先生は、「気がつく度に、いじめはいけないと、注意しています。口を酸っぱくして、いじめはいけないことです、お友達になって、仲よくしましょうと言っているんですけど。でも、経験不足で効果が出なくて、うまくいかなくて、申し訳ありません」と言うばかりだった。

「今から勉強します。お時間をください。頑張ります」と言って、進展はなかった。

校長も、「かしこいものですよ」と言って、具体的な対処はなされなかった。