市には魚、服地、食器の店もある。服地はほぼ麻のようだ。堅くてゴツゴツした感じのものから、細く柔らかくした糸で細心の注意を払って織られたようなものまでいろいろだ。生地にする前の生成りの糸のかせも売られているし、一方で、彩色されたり、模様の描かれた生地もある。木や花の染液で色を付けていると洞窟の男が説明した。ここで売られている食器は、先ほど餅をのせてきた皿と同じく、釉薬(ゆうやく)のかからない素焼き…
[連載]朱の洞窟
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小説『朱の洞窟』【最終回】萬野 行子
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小説『朱の洞窟』【第17回】萬野 行子
「ここはなんだか…」少年少女が連れて行かれた“とんでもない場所”
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小説『朱の洞窟』【第16回】萬野 行子
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小説『朱の洞窟』【第14回】萬野 行子
山道を必死に歩くなか…景色の異様さに「不安が大きくなった」
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小説『朱の洞窟』【第13回】萬野 行子
狼狽する子どもたちに重い一言「生きるってこういうことじゃ」
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小説『朱の洞窟』【第12回】萬野 行子
オオカミ、鷲、マムシに襲われる!? 凄まじい生活を送る男たち
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小説『朱の洞窟』【第11回】萬野 行子
【小説】「おまえのものだ」謎の男と洞窟で採取した特別な石
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小説『朱の洞窟』【第10回】萬野 行子
【小説】「おじさん、誰?」洞窟の壁にいた“なぞの男”の正体
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小説『朱の洞窟』【第9回】萬野 行子
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小説『朱の洞窟』【第8回】萬野 行子
【小説】小学生4人「地元なのに、こんな洞窟知らんかった」
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小説『朱の洞窟』【第7回】萬野 行子
【小説】小学生女子と男子が殴り合い…「いじめをチクったな」
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小説『朱の洞窟』【第6回】萬野 行子
【タイムスリップ青春小説】エスカレートするいじめ
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小説『朱の洞窟』【第5回】萬野 行子
古代の人たちの謎…たった2センチメートルの間から朱を採掘?
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小説『朱の洞窟』【第4回】萬野 行子
命そのものである赤い色「朱」を古代の人たちが求め続けたワケ
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小説『朱の洞窟』【第3回】萬野 行子
【小説】同級生に連れられた先に待っていたのは、まさかの…
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小説『朱の洞窟』【第2回】萬野 行子
「猫好き?」転校翌日、さっそく3人の女子に町案内に誘われ…
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小説『朱の洞窟』【新連載】萬野 行子
東京からきた少女、初の田舎暮らしで「皆がじろじろ見てきた」