男は、船の甲板に仁王立ちしている。桜島が放った灰色の噴煙がたなびいていた空が、いつの間にか遠くなっていた。それにつれ、大空の青さが増していく。南の海にむかう船は、右手に鹿児島本土の最南端にそびえる薩摩富士の秀麗な姿を望みながら、穏やかな錦江湾を抜け出ようとしている。これで、本土との別れだ。船の後方を振り返ると、波静かな湾内に航跡が陽光を浴びて白く輝いている。湾の奥の方では、海と空がつながっていく…
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