べとべとべー

まず五人ずつのチームを二チーム作った。

代表がじゃんけんをする。負けたチームは腰を曲げ、前の人の足の間に頭を入れつながった。これが馬の背中。先頭は壁に立ち、馬の背中になった仲間を支えた。さしづめ馬の首といったところだろうか。

じゃんけんに勝ったチームは、馬になった友だちの背中に次々ととび乗った。としおはまさとと同じチームでないことにほっとした。それにこれなら背中に乗りさえすればいいのだ。落ちることもない。 

その日の体育は「馬とび」でとても盛り上がり、まさとたちの仲間はもちろん、としおも友達に誘われ、昼休みに校庭で馬とびをしていたほどだ。

その日、集団下校でとしおはいつもの仲間と一緒に帰っていた。もっぱら話題は、夕べのテレビ番組で持ちきりだ。

「昨日のテレビひどかったよな」

「うん。この前の『水曜スペシャル』がうそだったっていうやつでしょ」

「なんだよ、やらせかよ。やっぱな、話が面白すぎると思ったんだよ」

翔太がさめた口調で言うと、

「そうよね。面白かったんだけどね。だけど、同じ人間で進化の過程が違うなんてやっぱりちょっと無理があるよね」

真理子はうなずきながら、まさとをちらりと見た。

「でも、タイプとしてはいると思うんだけどな。鳥族とか魚族とか……さ」

自分は絶対に鳥族だと信じていたまさとが、体をくねらせながら悔しそうに言った。

(やっぱりそうだ。鳥族なんているわけないんだ)

としおはみんなの会話を聞きながら、一人道ばたの葉っぱを揺らした。そんなとしおのそばに友也がそっと寄ってきて、小声でつぶやいた。

「としお君、今日遊ぼう。面白いゲームのソフトがあるんだ」

友也は、いつもこっそりとしおを誘う。五人一緒の時は、まさとに合わせているが、実のところまさとのことは嫌いらしい。

「としお君がいないと、僕が代わりに意地悪されるんだ」

友也はメガネをずり上げながら、時々そうぼやいた。