お茶が手をつけられないまま冷めていくのを、春彦は物憂げに眺めていた。春彦にとって専門家は、何の役にも立たない存在だった。郁子が流産してからの二年というもの、春彦は何がいけなかったのかとひたすら考え続けてきた。自分の中をえぐるようにして考えるその日々は春彦自身をも深く傷つけたが、そのどこにも答えを見つけることはできなかった。それを肉親というだけでこうしてやって来て、一方的に問いただす行為に一体何の…
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