俳句・短歌 俳句 コンテスト大賞作品 2023.12.05 句集『バーの二階で』より三句 バーの二階で 【第3回】 田中 龍太 幻冬舎グループ主催 『短歌・俳句コンテスト』大賞受賞作品 日本の四季を彩った、“今”を表現する一冊 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 コロナ禍以降、読書を楽しむ機会が増えた人も多いのではないでしょうか? 本書は、その間に編まれた句集です。※本記事は、田中龍太氏の書籍『バーの二階で』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 春の景 傍らに 菜の花の ありひとりきり カイロスに 後ろ髪無し 春の海 気休めの アロマオイルに 山笑ふ 【前回の記事を読む】句集『バーの二階で』より三句
小説 『いつか海の見える街へ[人気連載ピックアップ]』 【最終回】 須賀 渚 彼女はひとりで逝ってしまった――。危篤になる前に「会いたい人はいないか」と看護師が聞いたそうだが、彼女は… 【前回記事を読む】「私、ここに自分のお墓を買ったの」と話し出す彼女。「身寄りがないから…ほんとはあなたのそばにいたいけど、許されないわ」扉が開いて、以前にも会ったことのある婦長が現れて「面会室」と書かれた部屋に案内された。向かい合わせの椅子があり、座るようにと手で示した。向かいに腰を下ろした婦長は、低い穏やかな声で話し始めた。年末の風邪の症状から高熱を出し、さまざまな治療が試みられたが、免疫力が…
小説 『ボイス・リミット』 【最終回】 松本 すけ 「癌」? 耳を疑った。彼女が子宮頸がんを患っていたなんて…恋人の死因を葬儀中に知ってしまった僕は、そのままその場に倒れて… 【前回記事を読む】昨日まであんなに元気だった彼女が急に死ぬはずがない――声だ。声の上限を迎えて死んでしまったんだ…二日後、葬儀は学校関係者も含めて執り行われた。裕翔はこの二日間、食事は何も喉を通らず、放心状態だった。葬儀に参列し、一人ずつお焼香をした後、彼女の顔を見ると、とても綺麗な顔をしていた。眠っているだけのような顔をしていて、今にも起きていつもの笑顔を見せてくれそうに思えた。「これからいろ…