俳句・短歌 俳句 コンテスト大賞作品 2024.01.12 句集『バーの二階で』より三句 バーの二階で 【第4回】 田中 龍太 幻冬舎グループ主催 『短歌・俳句コンテスト』大賞受賞作品 日本の四季を彩った、“今”を表現する一冊 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 コロナ禍以降、読書を楽しむ機会が増えた人も多いのではないでしょうか? 本書は、その間に編まれた句集です。※本記事は、田中龍太氏の書籍『バーの二階で』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 春の景 つばくらめ 銀のトレイの 照り返し メサイアを 聴かず仕舞ひや 花ミモザ 桜餅 顎を引くやう 指図され 【前回の記事を読む】句集『バーの二階で』より三句
エッセイ 『ねぇねぇみかどのおばさん』 【第3回】 六谷 陽子 不良とつるみ始めた近所の男の子…。駄菓子屋のおかみが決行したのは「えこひいき」作戦!? 一 みかどを閉店します富山の片田舎から下町に嫁いだ頃は、母も人間関係で苦労したようです。当時は、各家庭には水道は通っておらず、共同水道を十世帯くらいで使っていたのです。そこに行けば、他の誰かが必ずいます。特に水を使う時間帯は同じだから、会わずにすませる、というわけにはいかなかったようです。年配のおばさんたちは、個性的で嫌味を言う人もいれば、優しい人もいます。年配らの会話を笑いに変えて楽しむ若妻も…
小説 『猫と狸と、ときどき故郷』 【第3回】 宮本 正浩 「子供の命を助けてくださり有り難うございます。これで少し恩返しができたようです」 翌日、夜、狸はやって来た。「何か良い考えが浮かびましたか」と訊ねると狸は黙って首を振った。「何も思いつきません」と言う。私の顔を見つめて「何か計画をお持ちなのですね」察しの良い、頭の良い相手だ。「私のプランはかくかくしかじか」と話すと、狸はぽんと膝を打ち、是非やって見ましょうと言う。「問題は阿波踊りの開催まで1ヶ月しかない。準備ができるかどうかだ」「問題ありません。インターネットを使えば世界の情…