史は、涼介の気持ちに応えるかどうか悩み、なかなか返事をすることができないでいた。やっと一度だけ会うことを約束したのは、手紙を受け取ってから一か月後のことである。その頃の史は、涼介への気持ちがはたしてどうなのか、わかっていなかったのだ。約束の日、二人はドライブをした。「史さんは、どの辺に住んでるの?」「えーーと、町に一軒だけある酒屋さんから南に300メートル余り行ったところです」「ああ、あの酒屋さ…
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