読後感――読書から学ぶ感性
のんでれ
今は全国各地どこへ行っても「傾聴面接」ばやり。「聞き方」の勧めであり、それは時代の寵児となっています。しかもそれが社会福祉協議会あたりの市民講座であることがオカシイ。
社会福祉の相談は「ソーシャルワーク」。ソーシャルワーカーはカウンセリングにあたってより積極的に本人から事情や訴えを聞き、その情報収集と本人を取り巻く社会関係のどこに困難があるかの整理をしつつ、問題解決に当たる、法律に縛られない「社会関係調整の専門家」です。
私は法律以外の「社会的弁護士」と解釈しています。「聞く力」はあくまでその手段。どこで勘違いが起きたのか、今や「カウンセリング」技術が「ソーシャルワーク」と同一視されてきています。
なるほど、最近の子育て支援でのスクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーの扱いにその混乱が現れています。
私はカウンセリングの「傾聴」でのノンディレクティブだけでは、問題の本質がスポイルされ、心理的平衡には貢献するが、ときに問題解決をうやむやにして、いわゆるガス抜きになる恐れがあると危惧しています。
non directiveは「のんでれ」だと批判してきました。ここが心理学と福祉科学のアプローチの違いでもあります。
記忘庵日誌 2023・3・3