二人の乗った近鉄特急が榊原温泉口駅を通過する頃には幹也の顔に笑顔が見られるようになった。二人は久しぶりの再会だったこともあり会話は弾んだが、幹也は父親との暮らしぶりを話題にすることは一度もなかった。雅代も訊くことはしなかった。区役所の窓口で手続きを済ませて転校した幹也の通う小学校は、一学年四クラスもあるマンモス校だった。故郷の志摩とは授業の進捗状況や使う教科書も異なり、志摩では優等生でいられた幹…
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