第1章 人生の座標軸としての自分軸
1 自分軸の前提
(5) 成功と成長
サキ:自分軸において「成功と成長はどのように位置づけ」られますか。
コウキ:人生において成功し幸せになることは人生の目的とも深く関連し、とても重要なことです。この場合、他人軸を基にした一般的な成功1) 失敗という単純な白黒思考に基づく2元論の他に、自分軸に基づく成長思考に基づく失敗からの学びや経験(学習経験)という成長2) の側面も重要であり、人生においては自分軸とオープンマインドに基づき旺盛な好奇心と成長意欲によって人間的に成長(人間的成長)していくことこそ真の成功であると考えられます。
ここで社会的に言ってこれが成功であるという客観的で普遍的な成功の定義は存在しませんが、一般的に成功は図表 1-9 のように、3 つのものに分類できます。
この場合、人生において成功し幸せな人生を送るためには、(1)競争的世界観と他人軸に基づく継続的な競争と評価を基礎とする外的な財産、肩書、名誉3) を得るという「社会的成功」だけでなく、(2)成長や創造レベルの非競争的世界観と自分軸に基づく競争や他人評価とは無関係に、なりたいものになり心の平安や幸せを与えてくれる内的な「私的成功」も大切です。
すなわち、(1)公的成功や社会的成功とは継続的な競争原理と他人評価に基づく社会において自分の仕事を愛しそれに打ち込むことによって社会へ貢献して、社会一般の人が成功と認めるような財産・地位・名誉などを得るという外的で社会的な成功すなわち他人軸に基づく成功を意味します。
これには例えば、ビル・ゲイツのような世界的な大会社の社長・会長や大金持ちになることや川端康成のようにノーベル文学賞をもらうことなどを指しています。この場合、自己の実力が社会的にも認知され、達成感や優越感なども感じられます。
サキ:そうですね。やはり社会的成功を達成することはすごいことですね。しかも、社会的成功を実現した時に慢心せずに、「腰が低く」謙虚に「実るほど頭を垂れる稲穂かな」になれる人は、高い人間性4) も兼ね備えた人間的成功も同時に達成している人ですね。