彼の中学校通学はバス一本か、バスと電車一駅を乗り継ぐ二通りのルートがあったが、彼はそのどちらのルートでも通学できた。
一人歩きができるので、その点ではお母さんは不安を感じていなかった。彼にはそういった意味では生活力があった。だから順調に中学校生活を送れているはず、とお母さんは安心していた。
入学から三カ月過ぎた頃、お母さんからこばとに相談の電話があった。学校からお母さんに連絡があったとのこと。通学中の電車内や駅で目撃される彼のあまりの態度の悪さに、一般のお客さんから苦情が入ったと言うのだ。
目撃者は彼が電車内で大股を広げて二人分の席を取り、脚を通路まで投げだし寝そべるようにだらしなく座っていると言う。また平気で腹を出してぼりぼり掻いたり、大きい声で喋ったり、ガハガハ笑ったりするというのだ。
通報された学校はそれが事実かどうか確認するため、支援学級担任の先生が本人に隠れてこっそり跡をつけ、証拠の写真を撮った。彼は言い訳するのがうまいので証拠が必要だと考えたためだ。
乗客の苦情は事実だったので、学校と家庭で協力して指導に当たることになった。
その後、彼の通学中の行儀の悪い態度は改められた。見られていたという事実が彼には効いたのかもしれない。
次回更新は7月1日(水)、14時の予定です。
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