【前回の記事を読む】高い遊具に1人で登っていた末っ子…別の子が近づいた瞬間、スタッフは「まずい」と駆け寄ったが…「押そうとしただろ!」と父親の怒声が響き…

第一章 生命力を支える家族

電車内ではバンザイを!

集中力アップのための足し算・引き算

入学したての頃、算数や国語の学習の時間、他のクラスメイトは皆、各々のレベルに合わせた学習プリントをもらっていたが、息子はいつも大きめの数字や文字のなぞりをやらされるだけなので、すぐに終わってしまう、とお母さんは残念とも不満とも言えない顔で言っていた。

ところがある日、算数の授業の時間、彼の隣の席の二年生が足し算のプリントを床に落としてしまった。もうすることがなくなっていた彼はそのプリントを拾いサクサクやった。

それを見た若い男性担任はひどく驚いてお母さんに、できる理由を聞いてきたそうだ。そこで「こばと治療教育センター」の療育に通っていると担任に伝えた。

それから一週間ぐらい後に彼のクラス担任から、「こばと」の指導風景を見学したいという電話があった。私は驚き少し喜んだ。

当時は学校以外の私的療育施設に通うことを良しとしない先生も多くいたので、こばとの方から学校に連絡を取ることはなかった。実際、名の知れたベテラン先生のいる支援学級では、こばとに通っていることがばれて、膝詰め談判でやめさせられた子どもも何人かいたからだ。

一方、こばとの療育風景の見学を希望する先生も何人かいて、そのような先生方には参考になればと好きなだけ見てもらっていた。複数の人数で、または同じ先生が複数回見に来られたこともあった。

彼の担任は長い時間見学していた。子どもの個別の教材を入れている籠のプリントを見て回り、スタッフの声のかけ方や介助の方法をじっと見たりしていた。

何か考えることがあるのか、あまり質問はせず帰っていった。