【前回の記事を読む】おばあちゃんは、お化粧をして眠ったように綺麗だった。足袋を履かせる時、冷たくて重くて、硬くてまるで大きな人形みたいで…
誕生から19歳、結婚まで
白いラインの入った黒のセーラー服の袖に腕を通して、結んだ白いリボンが胸元にふわりと揺れる。
中学校は二つの小学校が合わさって7クラスもあったんだ。もちろん知った顔もあるけど、同じ制服に身を包んだ半数は知らない人。校則もありルールも増えたけど、私の世界はぐんと広がったの。
そして、同じクラスになった水頭症を患う女の子。
小学校は一緒だったけど、今まであまり接点がなかったんだ。足は棒のように細く、下肢に装具を着けて歩いていた。
排泄の感覚がないため紙オムツをしていて、時間を決めてトイレに行く必要があったの。しかも当時の学校のトイレは和式だったから、洋式の職員トイレに……だよ?
彼女は教室から遠く離れた、職員トイレに行きたがらなくて。
……教室に充満してしまう匂い。
するとどこからともなく聞こえてくる「臭い」「早くトイレ行ってよ」の声。
遠巻きに彼女へ向けられる視線……、いつの間にか私は彼女を連れ出していた。休み時間など様子を見ながら、一緒に職員トイレに行くことにしたの。
当時、周りの人にはどう映っていたんだろう。私はただ、みんなにそんなこと言ってほしくなかったの。それに彼女も誰かと一緒なら……、職員トイレまでの道のりが軽いんじゃないかと思ったんだ。
……私に、彼女が屈託のない笑顔を向けてくれるのが、嬉しかっただけなんだ。
今思い返すと、“目の前の人の笑顔が見たい”……そう思うきっかけになったのは、彼女の笑顔だったんだなぁ。