予想の斜め上を行く行動に驚愕

こばとは将来の就労に有利なパソコン操作につなげるため、四年生以上の子ども達にはローマ字を教えていた。

準備しておいた課題が全部終わった高学年生にはノートパソコンを渡し、キーボードでタイピングの練習をやってもいいことにしていた。

視覚認知の良い自閉症児が早くローマ字を覚えるのを見て驚いたし、集中が続く子が多かったが、彼はローマ字を覚えるのに難儀して集中が続かなかった。パソコンの前にローマ字の対照表を置くなどしても効果は少なかった。

パソコンが好きな子が多い中で彼は手元に集中が続かず、誰にともなくお喋りを始める。下心が分かっているので、誰も相手にしないと姿勢を崩して椅子に寄りかかり、パソコンの作業を放棄してしまう。

スタッフは彼に達成感を味わってほしくて、キーボードを一つずつポイントし、励まして何とか一文を打たせるが、彼はあまり嬉しそうではなかった。

彼はパソコンが好きではなかった。パソコンだけでなく、細かいことが嫌いだった。

中学校進学にあたって、通常の中学校の支援学級は多人数だし、彼の学力では授業についていくのも厳しいのではないかとお母さんに話した。

しかし、お母さんには夢があった。彼が支援高等学園を受験して合格し、将来は特例子会社(障がい者の雇用と働き方に配慮してくれる会社)に就労することだ。

そのため多人数で評判の良い中学校の支援学級を希望して入学した。