「ふん、そんな飛び道具、私にとっては玩具同然だ。やれるもんならやってみろ」
そう言うと、賽子は右の掌を立てて銃口に向けてまっすぐ突き出した。
「やめてください、賽子さん! 本物の銃ですよ。今までとは違います。超能力なんてこの世にはないんです。あの人が言うとおりです。賽子さんは今まで運がよかっただけです。お願いですから一緒に逃げましょう」
麻利衣が涙ながらに懇願したが、賽子は聞く耳を持たなかった。
「私は絶対に弾丸には当たらない」
山口が撃鉄を引き、引き金を引くとパンという轟音が鳴り響き、麻利衣は悲鳴を上げて思わず目を閉じた。
おそるおそる目を開けると、賽子は無事その場に立っていたが、数本の髪の毛が地面にはらはらと落ち、彼女の左頬にできた水平の傷口から血が滲み出て、美しい白い頬を赤く染めていった。しかし彼女は全く怯んだ様子を見せなかった。
「賽子さん!」
「おや、どうした? 弾丸に当たらないんじゃなかったのか?」
「超能力(フォルス)で弾丸の軌道を逸らした。そうでなければ顔面に命中していたはずだ。もう少し余計に逸らしておけばよかったが、ちょっとした計算ミスだ」
「相変わらず言い訳ばっかりだ。聞き飽きたよ。おまえは私が病殺能力しか能がないと思っているようだが、私は射撃技術にも超能力(フォルス)が使えてね。狙った的は百発百中なんだ。今のはわざと頬をかすめるように狙ったのさ。今度は本当に顔の真ん中を狙ってやる」
「やってみろ。今度は弾丸をおまえに弾き返してやる」
「賽子さん! もうやめてください!」
麻利衣が叫んだが、山口が再び撃鉄を引き、引き金を引くと、轟音が境内に響き渡った。麻利衣は再び悲鳴を上げた。だが、賽子はその場に立ち続けていた。代わりに真っ赤に血に染まったシャツの上から腹を押さえながら、蒼褪めた顔で山口がくずおれた。
「まさか、本当に弾丸を弾き返した……」
次回更新は5月31日(日)、21時の予定です。
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