【前回の記事を読む】「何これ……」空から降りてきた戦車のような巨大機体…上部の操縦席には、前歯のない男の“頭部だけ”が収まり、こちらを見て笑っていて……
サイコ7――コンビナートの決闘
賽子は冷ややかな視線で残された西須の黒焦げの上半身を見下ろした。
「悠雅はこうなっても仕方のないことをしてきた。自業自得というやつだ。
だが……こいつを罰せられるのは私だけだ。勝手なことをしやがって。
おまえだけは絶対に許さん!」
賽子は珍しく怒気を発した。
「それでいい。それでいいぞ! 怒れ、憎め! そして最後には自分自身の無力さを呪うがいい。かつての俺がそうだったようにな!」
八重沢は足底のジェットエンジンを全開にして体ごと賽子に体当たりしようとした。
彼女はそれを素早くかわし、脱兎の如く逃げ出した。ロボットは賽子の背後の冷却塔に衝突し、塔は無残にも崩壊し、倒れて地面に衝突した。
「自分の非力を思い知ったか。待て、待て。逃がさんぞ!」
狭い通りや建物の中に入り込んでコンビナート中を逃げ回る賽子を八重沢は『ワルキューレの騎行』を流しながらジェットエンジンの推進力を使って追い回し、建物に衝突しては工場を次々に破壊した。
両手のレーザー兵器を連射し、しまいにはミサイルまで発射すると、工場に残されていた燃料に引火して次々と爆発を起こし、コンビナート中が火の海に包まれた。
遂に賽子を追い詰めた八重沢がミサイルを発射すると足元で爆発し、彼女は吹き飛ばされ、地面に激しく叩きつけられた。
そこは最初に彼女がいた場所で、いつの間にか元の場所に戻ってきていたのだった。白いワンピースは煤まみれになっていた。
「賽子さん!」
倒れた塔の物陰に鍬下とともに隠れていた麻利衣が叫んだ。燃え盛る炎の中から八重沢の無骨な機体が姿を現した。