超能力探偵 河原賽子

1974年、超能力者ユリ・ゲラー氏が来日し、スプーン曲げを始めとした驚くべき能力の数々をTV番組で披露した時、人々はブラウン管に釘付けとなり、一大超能力ブームが巻き起こった。

人々は自宅のスプーンを持ち出し、うまく曲げられた者は自分の中にも奇跡の力が眠っていると心躍らせ、曲げられなかった者はこんなものはインチキだとへそを曲げて文字通り匙を投げた。

その後もMr.マリックやエスパー伊東らにより幾度かの超能力ブームが訪れたが、インターネットが普及し、万人がスマートフォンを手に入れ、SNSや動画に夢中になりだした頃、超能力は忘れ去られ、誰にも信じられなくなった。

何故ならこれらの革新的な情報技術により人々はかつて夢見ていた超能力などよりもはるかに優れた能力を手に入れたと感じたからである。

だがここに予言する。この物語の主人公河原賽子が新たな超能力ブーム、いや、新たな超能力時代をこの世界にもたらすことを――。