【前回の記事を読む】ガンは完治したのに緊急入院、そのまま帰らぬ人に…医師がその患者を「被害者」と呼んだ理由は…

サイコ3――奇跡の手

麻利衣と千晶が事務所に入ると、賽子は花柄のグレーのネグリジェを着ていた。

「何だ、こんな夜遅くに」

「ごめんなさい。其田が治療した患者さんたちが次々に急性間質性肺炎で亡くなっているのが分かったんです。やっぱり其田は詐欺師だと思います。早くそいつの正体を明かさないとさらに被害者が増えます。賽子さん、どうか其田を懲らしめてやってください」

千晶が訴えた。

「それで誰が報酬を払うんだ?」

「え……」

「私が払います」

麻利衣が言った。

「この件は100万だ。おまえにはそんな金はなかろう」

麻利衣は賽子に深々と頭を下げた。

「4か月分の給料から差し引いてください。その間はただで働きます」

「まあ、仕方がないだろう。では明日、患者としておまえが其田治療院を受診しろ」

「え? 私が? でも、あそこは完全予約制だって……」

「予約なら1か月前に取ってある」

「え? 賽子さん、どこか悪いんですか?」

賽子は深い溜息をついた。

「バナナ、おまえはどこまで間抜けなんだ。私に予知能力があることを忘れたのか」

「えっ、じゃあ1か月前にこうなることを予知していたって言うんですか?」

「もちろんだ。それから鍬下も呼んでおけ」

「はあ……」