「しばらく時間がかかりますので、こちらのお茶を飲んで心を鎮めてください」

そう言うと女性は麻利衣にお茶が入った紙コップを手渡した。

「ありがとうございます」

そう言って麻利衣がお茶を飲もうとした瞬間、右隣の賽子がいきなりコップを奪い取った。

「何するんです?」

麻利衣が驚いていると、その間に賽子はコップの中のお茶を全部飲み干してしまった。

「そんなに喉が渇いてたんですか?」

「バナナ、おまえは本当に間抜けだな。このお茶の中には薬物が溶かしてあったんだ。この味は……DNA合成阻害薬、つまり抗癌薬だな」

「何ですって?」

二人が騒いでいるのを聞いて其田は動作をやめ、目を開けて賽子を鋭く睨みつけた。

「何をそんなに騒いでいらっしゃるのですか? これでは集中できず、治療になりません。治療を中断しても、キャンセル料として半額はいただきますよ」

「最初からこんなインチキ気功法に金など払うつもりはない。真面目にやっている気功法師たちに失礼な話だ」

賽子が言った。

次回更新は3月8日(日)、21時の予定です。

 

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