【前回の記事を読む】突然現れたこの人生100年時代のあまたの環境変化にいずれ変わらざるを得ないと感じている。

第1章 直面する課題の概略~人生100年時代前夜

5.仕事が一人一人を輝かせる

第1の人生のキャリアは組織を軸にした生き方であった。すなわち誰もがあてがいぶちのある世界なおかつ途轍もある世界でキャリアを重ねてきた。

しかし第2の人生は、あてがいぶちのない世界、途轍もない世界なので、組織を軸にした生き方はなくなり、個を中心とした生き方に変わり、個が輝く時代になり得るのだ。

定年退職時、これからも続いていく人生100年時代を思い浮かべた際に、三つの不安要素に苛まれる。

経済的に大丈夫だろうか? 病気にならないか? 健康は維持できるだろうか? 毎日何をしたらよいのだろうか? やることはあるのだろうか?

そしてこの3要素は自分のことだけにはとどまらない。住宅費あるいは住居維持費、生活費、家族の病気や介護問題、家族・友人との交流、あるいは余暇活動など、個々人が持っている、または付随している環境により、経済面、健康面、活動面(仕事活動と余暇活動)の3不安は拡大していくのだ。

ただよく考えるとこの不安感は、100歳まで何も活動しない、なおかつ今の自分を取り巻いている社会状況、社会環境、自分環境などがそのまま変化せずに続くと考えているからではないか。

確かにじっとしていたら資産は確実に減る(年金はあるが)。加齢とともに筋肉等が落ち肉体は衰えて弱くなり肉体的健康は喪失する。活動しなければ人との交流もなくなり、社会的・精神的健康も喪失する。

しかしながら、この三つの不安要素、お金の不安、健康の不安、何をしたらいいのかの活動の不安を一気に解決できる方策があるのだ。それは活動ゾーンの一角を担う労働活動である。

第2の人生も、労働活動をキャリアの真ん中に置けば全てが好循環に動き始める。まず労働を始めたら健康が手に入る。通勤のウォーキング・有酸素運動、仕事中の身体のこなしなど、結構、労働は無意識に体を使い健康増進に寄与しているのだ。

また労働を通しての対人交流や、頭脳を回転させることによって、社会的健康、精神的健康も得られる。さらにいくばくかの金銭も入り、生活費の潤いはもちろん余暇活動を通した自己実現のための費用も確保できる。