【前回の記事を読む】60歳以降のセカンドライフでは、仕事でも趣味でも交流活動が重要。交流の中で「ロールモデル」や「メンター」を探すことができれば…

第2章 考え得る多様な対応へのアプローチ

2.第2の人生におけるキャリアの意味とは

キャリアの日本語は轍(わだち)の跡、経歴、活動など、様々数多くある。だがどれも一言で本来の意味を表現できてはいない。何故か? 英語のキャリアは二つの意味を内包しているが、その両方の意味を表す日本語はないため、やむなくキャリアとカタカナで表示している。

二つの意味の一つは外的キャリアと呼ばれ、もう一つは内的キャリアと呼ばれている。外的キャリアは目に見えるもの(職種、肩書き等)、内的キャリアは目に見えない心の中(価値観等)を表している。履歴書の学歴・職歴・資格欄は外的キャリアである。職務経歴書の志望動機・自己PRは内的キャリアの出番である。

例えば私は朝出勤前に自宅でスーツを着る。そのスーツ自体は外的キャリアである。そのスーツを選択した自分の感性や価値観は内的キャリアである。ややこしいが、私はキャリアの訳語は「活動」と解釈し使っている。

以前は経歴という訳語をよく使っていたが、経歴はどうしても過去の意味合いが強いので、人生100年時代の第2の人生を考える時には過去、未来両方を論じるので活動の方がしっくりくる。また人生100年時代の第2の人生の意味・意義は、E=MC2乗から導き出し、活動することと解釈した。故に、本書におけるキャリアの訳語は活動を使用する。

キャリアを考えることは活動を考えることである。活動を考えることは、時間の配分を考えることではなく、何をするかのフェーズ、場を考えることである。すなわちフェーズを考えることはマイプレイス、自分の居場所を作ることになる。居場所を求める活動、キャリアには以下の種類がある。

1.労働活動、キャリア~稼得報酬
2.運動活動、キャリア~肉体的、精神的、社会的健康
3.対自活動、キャリア~継続学習、散歩、旅
4.対他活動、キャリア~交流、ボランティア、研究会
5.余暇活動、キャリア~趣味、ガーデニング

労働活動は稼得報酬以外に、精神的報酬もあり得るのだ。例えば私の場合は講義、あるいは相談後の拍手とか、感謝の言葉を受けた時に、お役に立ててよかったという精神的報酬を感じている。

定年退職後の第2の人生は、あてがいぶちのない世界、つまり途轍もない世界が待っているということである。この途轍もない世界とは未だかつてない、とんでもない世界の意味である。