1-3 本書で取り上げるSTEAM教育

1-3-1 STEAM教育とは

OECDが2015年から推進しているEducation 2030プロジェクトでは、3つのコンピテンシーのカテゴリー(新たな価値を創造する力、対立やジレンマを克服する力、責任ある行動をとる力)が設定されています注2)

そのうちの一つである「新たな価値を創造する力」とは、獲得した知識を「未知な状況や変転する状況において適用するため」注3)に必要な力であるとされています。

「獲得した知識を『未知な状況や変転する状況において適用』させて行動に移すことができるようにするため」注4)には、子どもたちが実際に複数の分野を統合的・横断的に扱う学習活動を経験することも求められます。その際、STEAM教育の視点を取り入れることが有効です。


注1)「指導と評価の一体化」ということがよくいわれます。この表現自体は学校現場ではよく知られているものの、その意味するところが正しく理解されているかというと、必ずしもそうではないようです。教科の授業では、教科書があるので、なぜその学習が必要なのかが明確に意識されていなくても、評価の視点がなくても、何となく授業(のようなもの)をすることは可能です。しかし、教科書がない指導の場面、例えば、部活動や各種行事の指導の場面では、指導者に評価の観点がないと、子どもたちに指導することも、指導を改善することもできません。つまり「評価の観点をもっていないと、指導ができない」ということです。「指導と評価」はそもそも一体のものであって、「コインの裏表の関係」のようなものであるといえます。

注2)文部科学省「OECD Education 2030 プロジェクトについて」https://www.oecd.org/education/2030-project/about/documents/OECD-Education-2030-Position-Paper_Japanese.pdf[2021.09.03.13:59 閲覧]

注3)同上サイト、p.5.

注4)堀田龍也「新しい時代の学びに向けたICT活用に関する考え方」『中央教育審議会初等中等教育分科会 新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会』2020、https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20201113mxt_syoto02000010853_2.pdf[2022.06.01.13:15閲覧]

【前回の記事を読む】「総合的な学習の時間=主体的に学ばせよう」という発想に中々ならなかったのはなぜか

 

【イチオシ記事】我が子を虐待してしまった母親の悲痛な境遇。看護学生が助産師を志した理由とは

【注目記事】あの日、同じように妻を抱きしめていたのなら…。泣いている義姉をソファーに横たえ、そして…