1 変化の激しい時代に向けた教育
1-2 総合的な学習
第9次学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」というスローガンが掲げられているので、「どうやったら子どもたちが主体的に動けるのか」を考える雰囲気が多くの学校にはあると思われます。
現在は、いくつかの課題はありつつも、全国の小学校・中学校で「総合的な学習の時間」が実施されています。子どもたちは「総合的な学習の時間」が時間割の中にあるという意識で学校に来ています注1)。
しかし創設当時は、「総合的な学習の時間」という名称が示されても、「主体的に学ばせよう」という発想が共通のものにはなっていなかったといえます。そんな中で突然、「さぁ何か探究してみよう」といわれた子どもたちも戸惑ったのではないでしょうか。
「総合的な学習の時間」の初年度は、筆者(森)は中学校教員だったのですが、最初の段階で「どんなことをする時間なのか」という趣旨説明をするのが非常に難しかった記憶があります。
難しかった理由の一つとして、「総合的な学習の時間」の「総合的」というのが子どもたちにとって易しい語彙ではなかったこともあると思います(筆者・芳賀は、「自由研究のように自分が取り組もうと思ったことにたっぷり時間をかけて取り組む時間で、先生はできる限りの手伝いをしますよ」とさらりと説明しましたが、これは、へき地の小規模な小学校の勤務だったこともあって、先生方との共通理解が図りやすかったことや、先に註で触れた筑波大学附属小学校に、指導する同僚教員全員で視察に訪れたりして感覚も共有できたことが事情として挙げられます)。
これを回避するために「総合的な学習の時間」に愛称というか別名を付ける学校もありましたが注2)、そうすると「ますます何の時間なのか分からなくなる」という困った話もありました。