1 変化の激しい時代に向けた教育
1-2 総合的な学習
教師は子どもたちの学びの環境を整えることに徹して、子どもたちが動きだすのを忍耐強く待つ、という在り方を徹底できればよいのですが、人的・時間的な制約もある中で、何とかして「探究」という自発的な行為を「させる」といった、矛盾ともいえることが求められたのが「総合的な学習の時間」でもありました。
「総合的な学習の時間」が学校現場で正式に実施されたのは平成14年度(2002年度)からでしたが、その時点ではすでに学校現場の多忙化は指摘されていました1)。
各教科等の一般的な教育活動を行うだけでも厳しくなっている中で、それ以上に入念な準備が求められる活動が、自由度の大きい状態で導入されたのです。
このような背景もあって、現在の「総合的な学習の時間」の内容は、「探究になっていない」という批判も受けつつ、「人員や時間などの制約の中でも、継続的な実施が可能な内容」に落ち着いている、というのが実情であると考えられます。「教科教育の研究の視点」から考えてみると、研究の視点としては「目標」と「内容」と「方法」の3つが挙げられます2)。
各教科の「目標」と「内容」は、学習指導要領等に記載されており、教科書もその記述に即した形で編集されます。各教科の教科書には、様々な教材が掲載されていますが、これらは学習指導要領の目標を達成するための題材として配置されています。