例えば、小学校第4学年の国語でよく取り上げられる教材に『ごんぎつね』という物語があります。授業においては、この物語の内容をしっかりと読み取ることになりますが、背景としては「登場人物の気持ちの変化や性格、情景について、場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像すること」という指導目標が意識されています3)。
このような背景があって「ごんや兵十の気持ちの変化や性格、情景について、場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像」できるための要素が含まれた物語が題材として選ばれているのです。「何となく易しくて親しみやすいお話だから教科書に掲載した」ということではないのです。
「方法」については、目標に基づいて選定された教材を具体的に子どもたちにどのように教えるかというのは教師に委ねられています。その「方法」を考えることが「教材研究」の重要な側面であり、指導計画の時系列での記述を伴って「学習指導案の作成」を行います4)。
同一の教材であっても、学校の規模や子どもたちの実態は様々ですから、指導の具体的な方法は現場の先生方に任せるのが最善といえます。これに応えることが「教師の専門性」です。「教材研究」や「学習指導案の作成」は、多くの時間と労力を要します。
基本的に「目標」と「内容」は、学習指導要領に即して編集された教科書に記載されていますので、教科書に基づいて授業をつくるときに教師が行うことは、「方法」についての検討です。