1 変化の激しい時代に向けた教育

1-3 本書で取り上げるSTEAM教育

1-3-1 STEAM教育とは

STEAM(スティーム)教育とは、Science(サイエンス)・Technology(テクノロジー)・Engineering(エンジニアリング)・Art(アート)注1)・Mathematics(マスマティックス)(科学、技術、エンジニアリング注2) 注3)、芸術、算数・数学)の5分野を統合的・横断的に扱うことを志向した教育の考え方です(以降、それぞれ、S(サイエンス) ・T(テクノロジー) ・E(エンジニアリング) ・A(アート)・M(マスマティックス) と表記します)。

生命科学分野に関わる人材育成をねらいとするものとして、米国を中心に推進されている教育の潮流の一つです。市民の全人的教育および創造的な労働力の育成をねらいとして推進されています。

STEM(ステム)注4)に続くSTEAM注5)教育では、個人の創造性を発揮するものとしてArtを位置づけている(Kwon et al, 2011)注6)ことからも、芸術と融合させた学習を構想することは、今後の学校教育におけるカリキュラム研究にも資すると思われます。

文部科学省でも、「急速な技術の進展により社会が激しく変化し、多様な課題が生じている今日、文系・理系といった枠にとらわれず、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成が求められて 」 いるとして、「STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に加え、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲で A を定義し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習を推進」しています注7)。