第2章 理論を少しずつ実践として具現化していく──主に楽器を用いた授業を例に

2-1-2 運指(指遣い)を探る

しかも、「きっかり半分でなくて、1.3とか1.7とかもできる!」と言って微妙な音程を楽しんだ挙句、「2番の指をスライドしてだんだん開けていくと、ウニョーンってなる!」と、まるでスライドホイッスルのような音を出してシとラの中間のすべての音を出せるようになった。

このことは、ケーナ等の笛にそのまま通用することでもあり、リコーダーという特殊なものから管楽器一般へとつながる重要な子どもたち自身の発見となる。

他にも、「1の次の穴(2)をとばして3の穴を塞ぐと、シとラの間の音が出る! ラとソの場合も一つとばして塞ぐと出るみたい!」(【図5a】【図5b】参照) 

【図5a】シとラの間の音を探る          【図5b】ラとソの間の音も同じような方法で出るかな

 

「でも、ピアノのシ b(ラ #)の音と微妙に音がずれてるみたいな気がする」と、微妙な音程の違いにも気づいていった。さらに、それを補正するために他の穴も追加で塞ぐという発見にもつながっていった。

このような、例えば「シとラの間の音」をつくる活動を通して、「シとラの間の音はピアノの黒鍵のシ b(ラ #)だけではない」ということに気づきます。

弦楽器で奏でると、「シ b」と「ラ #」の音程が異なることがあるといいますが、そういう敏感さや、音程に対する柔軟な捉え方も、「違いが分かる人」として育っていく上で重要であるといえます。